みなさんは戸籍を見たことがありますか?
戸籍とは、出生してから死亡するまでの身分関係(出生、結婚、死亡、親族関係など)について、証明されている制度です。家族関係を証明する際に、戸籍謄本をとったことがある人も多いかと思います。
今やマイナンバーカードを使って戸籍謄本がコンビニで取得できるようになっているほど、私たちにはとても身近な存在ですよね。
ですが、実はこの戸籍制度、日本以外の国ではほとんど採用されていないんです。
アメリカには戸籍制度が無い
なんと、アメリカには戸籍制度が無いのです。
戸籍制度が無いなんて、日本からすると信じられないですよね。日本の戸籍制度では、出生、死亡、結婚、離婚などの個人の重要な情報が詳細に記録されており、家族関係や相続などに関する情報が一元的に管理されています。
一方、アメリカでは戸籍制度は存在せず、代わりに各州や自治体が出生証明書、死亡証明書、結婚証明書などの公的記録を管理しています。
イギリスやフランスでも日本の戸籍制度に相当するものは存在しません。他の国では、記録が分散的に管理され、特定の出来事に異なる証明書が発行されるのです。
日本が一元管理されているのに対し、他の国では分散的な記録管理になっているということですね。
戸籍制度が無いのに、相続で困らないのはどうして?
日本の戸籍制度では、家族関係が明確に記録されているため、相続手続きが比較的スムーズに行えることが多いです。一方、他の国では複数の証明書を集める必要があり、手続きが複雑になりそうですよね。
一体どのように相続を行っているのでしょうか。実はその鍵は遺言書にあるのです。
アメリカでは、なんと遺言書の作成割合が5割を超えるのだとか。多くの方が弁護士の力を借りて遺言書を作成し、遺産の分配や後見人の指定を明確にしているそうです。
戸籍制度が無いために、だれが相続人か把握できないといった事情もあり、アメリカなどのほとんどの国では遺言書を作成して相続に備えます。
一方、日本の遺言書作成割合ですが、例えば令和5年の公正証書作成件数11万8981件と死亡者数157万5936人から導き出すと、なんと1割にも満たないのが現状です。
遺言後進国と言われても仕方が無いかもしれませんね…
円滑な相続のために
戸籍制度が整っていることはありがたいことです。
しかしながら、戸籍制度が整っているからと言っても、個々の相続がスムーズにいくこととは別の話です。
日本以外の国では、遺言書1枚で相続を済ませます。ヨーロッパ諸国では「大人のたしなみ」「大人の義務」といった意識が高く、国もその思いを尊重して、一丸となってスムーズな遺産の引継ぎを目指しています。
残される身としては、戸籍制度が整っていることよりも、このような話を聞くほうがよほど安心感があるのではないでしょうか。
日本では政府側は遺言の作成を奨励・推進しているものの、個人としてはまだまだマイナスなイメージが大きいと言えます。せめて遺言=遺書という誤ったイメージだけでも変えられれば気持ちも違ってくると思うのですが…
他の国のように、前向きな気持ちで取り組んで、円滑な相続を増やしていけたらいいなと思います。
当事務所では遺言書の作成をはじめとする相続関連のサポートを行っています。遺言・相続でお困りの際はお気軽にご相談くださいね。